えめばら園

Philosophier' Er nicht, Herr Schatz, und komm' Er her. Jetzt wird gefrühstückt. Jedes Ding hat seine Zeit.

「概念」の歴史を描く カンギレム (1977) [1988]

反射概念の形成―デカルト的生理学の淵源 (叢書・ウニベルシタス)

反射概念の形成―デカルト的生理学の淵源 (叢書・ウニベルシタス)

  • 従来の反射運動の研究は、次を区別せずバラバラの判断を生み出してきた
    • (1)神経と筋肉の自動運動の描写
    • (2)解剖学的構造とその機能的連関をめぐる実験的研究
    • (3)概念の定式化と理論内での一般化
  • そしてそれは、二つの偏見に由来していると思われる
    • (i)概念は特定の理論・文脈の内部でのみ現れる
    • (ii)生物学において実りある成果をもたらしたのは機械論的なスタイルの理論のみである。
  • シェリントンらの研究により、今日では反射は単純な現象とは思われていない。しかし19世紀の反射は要素的現象として機械論の根拠であり、その発見は機械論者にふさわしかった。そこで召喚されたのがデカルトである。
  • しかしこうした歴史把握は、デカルトの著作の注意深い吟味には耐えられない。歴史の〔遡求的〕論理によって〔ある理論の内的な〕論理が無視されてはならない。
  • 本書では、アリストテレス以来の筋肉と神経に関する理論の展開を追い、そうした理論が内的に何を含むかを調べた。ここで注意すべきなのは、概念は後に全く異なる理論や文脈の中で用いられることがあるということだ。
  • そして本書は、反射概念の歴史におけるトマス・ウィリスの重要性を再確立し、彼をホールやミュラーの系列の中に位置付けた。