えめばら園

Philosophier' Er nicht, Herr Schatz, und komm' Er her. Jetzt wird gefrühstückt. Jedes Ding hat seine Zeit.

子供は2歳くらいでパートナー理解を持つ件 Warneken et al (2012)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1467-7687.2011.01107.x/full

  • Warneken, F, Gräfenhain, M & Tomasello, M. (2012) "Collaborative partner or social tool? New evidence for young children’s understanding of joint intentions in collaborative activities" Developmental Science 15, 1, pp. 54–61

  子供が「相手と一緒に活動していること」を理解しているかどうかを実験的に明らかにすべく、「相手が共同活動を急に中断した時に再開を促すか」という指標が提案されてきました(18・24か月 Warneken, Chen and Tomasello 2006; 14ヶ月 Warneken & Tomasello, 2007)。しかしこれらの研究には2つの疑問点があります

  • (1)子供が、相手の共同しようという意図と、中断という行動上の結果のどちらに反応しているのか分からない
  • (2)子供は自分自身の個人的な目的達成のために相手に再参加を促しているのかもしれない。(単なる道具として見ている可能性)

  そこでワーネケンらは、2*2の実験デザインを提案します。まず中断と意図の関係について2条件を用意します

  • 【やる気なし条件】相手が続ける意図をなくしている条件
  • 【不可能条件】意図することが出来なくなっている条件

もし子供が中断という行動上の結果にのみ反応しているなら、両条件で反応は同じになるはずです。一方でそうでないなら、とくに【不可能条件】ではおそらくまだ共通目標を持っているだろう相手をサポートする行動が多い筈です。
  さらに課題を以下の2つに分けます

  • 【連関あり】子供が自分の行為をするためには相手の参加が必要
  • 【連関なし】参加者は一緒に行為する必要はない

もし子供が相手を道具としか見ていないなら、相手の参加が必要な【連関あり課題】の場合のみ、サポート行動が多い筈です。

  結果、(1)【やる気なし条件】より【不可能条件】のほうで再開を促す行動が多く見られました。次に(2)課題デザインを分析に入れると、どちらの課題でも同じくらい再開を促す行動が見られました。この結果は27カ月および21ヶ月の幼児で同じように出ています。幼児は相手の意図に反応し、かつ相手を協力者として見ているようです。