http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0010027710002672
- Caruso, E.M. and Gino, F. (2011). Blind ethics: Closing one's eyes polarizes moral judgments and discourages dishonest behavior. Cognition, 118: 280-285.
ある出来事の心像を描くことは、その出来事を描写した語に注意するだけの場合よりも多くの情動を喚起します（Holmes & Mathews, 2005）。そして、情動経験が強いと道徳判断は極端になります（Wheatley & Haidt, 2005）。ここで著者らは、目を閉じることで状況の心的シミュレーションが促進されて情動的反応が強くなり、道徳判断が極端化するのではないかと考えました。
実際、道徳的な行為または不道徳な行為に関する記述を聞かせる際、目を閉じている場合には道徳的な行為はより道徳的であると判断され、一方不道徳な行為はより道徳的でないと判断される傾向が見られました（実験１）。さらに「独裁者ゲーム」の教示を目を閉じたまま聞かせると、相手に分け与える金額が増える事もわかりました（実験２）。
また、心的シミュレーションの程度は道徳判断のよい予測因子になっています（実験３）。さらに、心的シミュレーションの明示的な教示は目を開けている被験者にしか効果がないこと、目を閉じる事で課題への注意が増している訳ではないこと（両条件で課題の理解の程度に違いが無い）、シミュレーションの教示が否定的情動を介して道徳判断に影響していることなどが見出されました（実験４）
