- Richard E. Ashcroft (2001). Money, Consent, and Exploitation in Research. American Journal of Bioethics. 1(2), 62–63.
Christine Grady (2001) は、被験者に報酬を支払ってもインフォームドコンセントは損なわれないと論じた。これは確かに正しいが、研究に対する経済的誘導が持つ真の問題は別のところにある。それは搾取である。
今日、実験実施者と参加者のあいだには契約の自由が存在しておらず、倫理委員会の審査を介することになっている。この仕組みの正当性の一部も、搾取の問題にかかっている。
ここで、「搾取」の2つの形態を区別しよう。
- (a) ある人の(相対的な)貧困状態を利用して、自発的にはしないはずのことをさせる
- (b) ある人の(相対的な)貧困状態を利用して、「公平な金額」以下の金額を受け入れさせる
このうち (b) は、報酬支払いに対する強力な反論となりうる。被験者の背負うリスクが報酬の金銭的価値とり釣り合っているか否かは真剣に考慮されるべき事柄であり、規制当局は実験参加者を搾取から守らなければならない。