えめばら園

Philosophier' Er nicht, Herr Schatz, und komm' Er her. Jetzt wird gefrühstückt. Jedes Ding hat seine Zeit.

ラバーハンド錯覚 Botvinick and Cohen (1998)

http://www.nature.com/nature/journal/v391/n6669/full/391756a0.html

  • Botvinick, M. and Cohen, J. (1998). Rubber hands 'feel' touch that eyes see. Nature, 391: 756.

 机の上に被験者の左腕をのせ、敷居を立てて本人からは腕が見えないようにする。一方、実物大のゴム製の手を本人から見える位置におく。その後、実際の腕とゴムの手の両方を、筆で同じようになでる。この際、被験者は視線をゴムの手に固定しておく。10分間の刺激の後、実験のあいだの経験について質問紙調査を行うと、「ゴムの手が触られているその場所に、ブラシの感触を感じたようだった」、「ゴムの手に触れているブラシによって、自分の感触が生み出されているようだった」、「ゴム手が自分の手のように感じた」といった項目に強い同意が得られた。
 著者らは、この錯覚は腕の位置感覚の歪みに基づいていると考えた。そこで、錯覚を経験させた後、目をつぶった状態で右手人差し指を机の下でスライドさせ、左手の人差し指のちょうど向かい側に移動させるよう求めた。すると、錯覚を長く感じている被験者ほど、実際の左手の位置より右(つまりゴムの手の位置)に近いところで右手を静止させる傾向が見られた 〔=いわゆるproprioceptive drift〕。