The Varieties of Reference (Clarendon Paperbacks)
- 作者: Gareth Evans,John McDowell
- 出版社/メーカー: Oxford University Press
- 発売日: 1982/12/23
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
- Evans, G [1982] The Varieties of Reference (Oxford Univ Pr)
pp.124-125
写真がある対象の写真であるa photograph is of an objectというのは、次のような意味である。特定のメカニズムは、特定の情報内容をもった事物を産出する。ここでしばらく、次のように仮定したい:この内容は中立的に、一つ以上の変項を持った開放文によって特定されることができる(変更の数は写真の中にある対象の数に対応する)。例えば、黄色い四角の上にある赤いボールの写真を考えると、この写真の内容は次のような開放文によって表象される。
赤(x)&ボール(x)&黄色(y)&四角(y)&上に(x、y)
このメカニズムは情報保存のメカニズムである。というのはアウトプットの内容に現れる性質は、(メカニズムの精確さに応じた程度で)インプットとなっている対象が持つ性質だからである。そして、このようなメカニズムの産物は、それが産出された時のインプットであったような対象の(of)産物だと言うことができる。これに対応して、アウトプットは、それが産出された時点のメカニズムの精確さについて判断するために我々がこのインプットと比較するところの対象のアウトプットである。ここで注意せよ。写真がある(諸)対象のものであるということの意味について説明した時、写真の内容の特定にはその(諸)対象への指示を行わなければならないという前提をおいてはいなかった。
〔注10〕実際私は、写真の内容の特定が、その写真の(諸)対象への指示を行わなければならないとは考えない。絵画が、例えばキリストが十字架上にいることを表象すると言われるかもしないが、これと同じようなかたちで、写真が、例えばaとbは前者が後者に対してRの関係にあるといったことを表象しているとは言われるべきではない。ここで、次の区別を設ける必要があることがわかる。一方ではa-表象(つまり、個別者−表象の一種で、その内容の特定にaへの言及が現れるようなもの。aを表象したり誤表象したりしているもの)、もう一方で、a-表象であることなしに、a<U>の表象となっているようなものである。