https://archive.org/details/cu31924024573176
- Titchener, E. B. (1909). Lectures on the experimental psychology of thought-processes. New York, NY: Macmillan.
pp. 14−19.
抽象観念や一般観念は可能なのかという、ロック以来の古い問題がある。だがこの問題を巡る議論は、英語圏特有の、論理学と心理学の混同にもとづいている。観念やイメージと論理的な意味は別物であり、前者は後者の担い手[vehicle]にすぎない。一般的であったり抽象的であったりするのは観念ではなくて、観念が担う論理的な意味なのである。
そして、観念やイメージには曖昧なものやはっきりしたものがあるが、イメージの曖昧さと意味の抽象性のあいだに本質的なつながりはない。曖昧なイメージは抽象的な意味を担い、はっきりしたイメージは個別的な意味を担う、といった対応関係は存在しない。
従って、いわゆる「像にならない概念」[unpicturable notion](例えば、「意味」)をイメージによって表象することも可能である。