えめばら園

Philosophier' Er nicht, Herr Schatz, und komm' Er her. Jetzt wird gefrühstückt. Jedes Ding hat seine Zeit.

真理の探究者は旅をする 〜  「夢の饗宴 『ダンテ、錬金術伝統、カバラー文学における遍歴する知性』」に行ったよヽ(´▽`)ノ 

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  • 「夢の饗宴 『ダンテ、錬金術伝統、カバラー文学における遍歴する知性』」, 立教大学, 17, Dec. 2014.

 師走の忙しさに罪を浄化しきれぬ(=『煉獄篇』を読み終わらない)身ながら、立教大学で行われたイベント「夢の饗宴 『ダンテ、錬金術伝統、カバラー文学における遍歴する知性』」に行ってきました。「遍歴」すなわち旅をテーマに、三人の講演者がトークを行います。

 一人目は『神曲』の新訳で話題沸騰中の原基晶さん。『神曲』におけるダンテの旅を、神と話す言葉すなわち「アダムの言語」に至る旅と位置づけ、ダンテがいかにして「世界の全てをいきいきと表現する能力」としての「アダムの言語」を手に入れたかを語りました。このトークには『神曲』の日本語及び原語での朗読もふんだんに盛り込まれていて、短い時間ながら詩の魅力を味わうことができました。
 続いて登壇されたのは「世界のヒライ」(司会者)ことヒロ・ヒライさん。今回のトークでは錬金術に関する平易で明快な紹介のあと、錬金術の伝統における「遍歴」のモデルとなった、ベルナルトゥス・トレヴィザヌスの語る遍歴を紹介。これがまた、真理を求めてあちらで散財こちららで散財、あげく他の人が遍歴と散財を繰り返さないために筆をとったというものでいやはや(賢者にあえて本当に良かったですね……)。会場を大きく沸かせました。
 最後にお話されたのはアメリカから駆け付けた若手カバラー研究者の山本伸一さん。「真理の探究者は旅をします」の一言目でぐっと聴衆を惹きつけ、カバラー文学における旅のモチーフは、ラビたちがその旅のさなか思わぬ聖書解釈者たち(子どもであったり、老人であったり)に逢うその偶然性を彩るために用いられていることを指摘しました。カバラー文学における旅とは「出会いの旅」なのです。

 三者が三様の切り口から「旅」について熱く語った今回のイベント。フリートークでは原さんの翻訳にまつわるこぼれ話なども飛び出し、たいへん素敵な一夜となりました。