A Companion to the Philosophy of Action (Blackwell Companions to Philosophy)
- 作者: Timothy O'Connor,Constantine Sandis
- 出版社/メーカー: Wiley-Blackwell
- 発売日: 2010/05/24
- メディア: ハードカバー
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- Lowe, E. J. (2010) "Action Theory and Ontology"
もし、ある機会における行為者の行為を、行為者が持つ(その行為者の<力>の個別の顕現/行使を構成する)トロープあるいは様態とみなすことが可能なら、キム的な行為の個別化に関する説明を、それと似ているが重要な点で違う説明に置き換えることができる。この見方のもとでは、行為はトロープあるいは様態なのだから、その個別化はトロープや行為が一般的に個別化されるのと同じやり方で個別化されることになる。よくある見解の一つは、トロープあるいは様態はまさにその対象(そのトロープを自らの個別的性質として持っているもの)と、それが存在する時間とで個別化されるというものだ。例えばこの見解によると、まさにこのリンゴとこの時間とが、このリンゴの現在の赤さはどの赤さなのかを決定しているのである。ここで我々は、トークン行為を迎え入れるために、トークン行為を特定の時間における特定の対象による特定の普遍者の例化と定義するキムの見解では必要だった、<性質例化>という(基礎的ではないにせよ)新しいカテゴリーに訴える必要はなくなる。その代わり、トークン行為とは、きわめて単純に、<その性質が<力>というまた別の特定の性質のサブクラスの顕現/行使であるという事実によって区別される特定の性質(つまり、トロープあるいは様態)のサブクラス>だと言えば良いのである。トロープあるいは様態は、出来事に形式上求められていた存在論上の働きを全て果たしてくれるように見える。 p. 8