えめばら園

Philosophier' Er nicht, Herr Schatz, und komm' Er her. Jetzt wird gefrühstückt. Jedes Ding hat seine Zeit.

信念は心的状態ではないとするコリンズの議論 Dancy [2000]

Practical Reality

Practical Reality

  • Dancy, J [2000] Practical Reality (Oxford University Press)

〔Collins [1987] *The Nature of Mental Things* の主要な議論は次のようにまとめられる〕

  • (1) もし信念pが内的状態ならば、そのような状態の存在はpが真であることを要請しない。このことは、偽の信念がある事実によって担保される。
  • (2) 〔1より〕従って、<信念pという内的状態がAの中に現前している>と<言うこと>は、<pは真である>と<言うこと>ではない。前者は、pが成り立っているか否かに関しては何の立場も表明していない。pが成り立っているか否かは、信念とは全く無関係で独立な事実の問題である。
  • (3) (2)は、内的状態の現前を言う(報告する)人が、A自身である場合にすら成立する。
  • (4) 〔2と3より〕もし信念pが内的状態だとすると、Aは、<自分はpと信じている(そういう心的状態が現前している)>と、pの成立不成立に関して何の態度をとることもなく、言うことが出来る。
  • (5) 〔ムーアのパラドックスが存在しているので〕Aはそのように言うことはできない。従って、pと信じることは内的状態ではない。

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  p. 111