えめばら園

Philosophier' Er nicht, Herr Schatz, und komm' Er her. Jetzt wird gefrühstückt. Jedes Ding hat seine Zeit.

飼い主の妄想に合わせる犬 Howard (1992)

http://ajp.psychiatryonline.org/doi/abs/10.1176/ajp.149.3.414a

  • Howard, R. (1992) Folie a deux involving a dog. American Journal of Psychiatry, 149, 414

 症例報告です。ある老婆は妄想で、自分を家から追い出そうとする男がおり、天井から自分と飼い犬を傷つける暴力光線が送り込まれてくると考えていました。これに対し老婆は、自分のマットレスをキッチンテーブルの下においたり、飼い犬には小さなテーブルの下に寝場所「空襲シェルター」を用意しました。著者がこの老婆を訪ねたさい、飼い犬は上の階のドアが開くなどわずかな物音にもすぐ反応しシェルターに入ったり、〔キッチンに行けず〕リビングにいる場合には天井へ向けて吠えたりしていました。

 この犬の行動が「妄想的」だとは考えられませんが、飼い主の妄想的信念や行動によって条件づけられたものだと考えられます。精神的に病のある人が飼う動物の異常行動というのは、もしかするとよくあるのだがあまり認知されていないだけではないのか、と著者は指摘しています。