えめばら園

Philosophier' Er nicht, Herr Schatz, und komm' Er her. Jetzt wird gefrühstückt. Jedes Ding hat seine Zeit.

フレーム問題の強力さ 松原・橋田 (1990)

  • 松原仁・橋田浩一 (1990) 「表象なしのロボットもフレーム問題に悩む」 『現代思想』 18, (7):160-167

  有限能力の情報処理システムが(記述量と処理量を込みにした)計算量をどう減らすかという「一般化フレーム問題」(see also. Dennett 1984)は人間にすら解けない。人間においてこれが解けているようにみえるのは、人間は行為を通じて外界に期待可能な構造をもつ「環境」を成立させることが出来るからだ。フレーム問題から引き出された「より直接的で確信度の高い情報を優先的に用いるように情報処理を柔軟に制御しなければならない」という原理は、ブルックスのような表象主義ではないアプローチを生み出した。しかし垂直型アーキテクチャのロボットであっても、「環境」から「外界」に放り出され期待可能な構造がなくなった時には常にフレーム問題に陥る。