- 作者: Margaret Gilbert
- 出版社/メーカー: Princeton University Press
- 発売日: 1992/03/23
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- Gilbert, M. (1989) *On Social Fact* (Princeton Univ Pr)
前理論的に言えば、共有知識が成り立っている典型的な状況では、人はその他の関与者にも共通に知られている事実に照らして遠慮なく行為するだろうと思われる。例えば、やかんが音を立てて沸いているということが今居合わせている人の間で共有知識になっていれば、人はやかんをストーヴからよけることを許されていると感じる(feel licenced)だろう。このような「自由freedom」そして「許可licence」とは、一般的に言えば次のようなことに等しいと思われる。つまり、問題となっている事実が成立していると仮定した上で行為しても、誰一人としてびっくりしないということをあてにできるということである。私自身の議論の文脈が示唆してきたように、共有知識の説明を探すということは、その一部として、次のような現象の説明を探していることなのである。つまり、この現象が起こっているなら、ある所与の命題pに関して、pという信念あるいは仮定を前提とした行為は他の誰も驚かすことがない、そういう現象を。 pp. 193-194