An Introduction to Contemporary Metaethics
- 作者: Alex Miller
- 出版社/メーカー: Polity
- 発売日: 2003/10/20
- メディア: ペーパーバック
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p68-72
道徳的モポ
(1)殺人は悪だよ
(2)殺人が悪なら、弟に殺人させるのは悪だよ
―――
(3)弟を殺人させるのは悪だよ
Wrightは、(1)(2)から(3)を導出するのに失敗する場合、準実在論はこれを「論理的間違い」であり「不合理だ」と説明しなくてはならないが、しかしBlackburnの説明ではここで犯される誤りは「倫理的欠陥」になっていると批判した。
・道徳的モポに失敗する人は、いったいどんな種類の誤りを犯しているのか? →これは、この〔導出という〕行為をどう解釈するかの問題である。解釈には背景情報が必要だ。そこで以下のような状況を考える。
状況1
事実的モポ○
道徳的モポ×
→誤りの種類:道徳的一貫性に欠ける
したがってブラックバーンの説明は適切である
状況2
事実的モポ×
道徳的モポ×
→この状況で誤りの種類を確定するには、さらに反実仮想が必要だ
(1)
事実的モポ●
道徳的モポ○
→誤りの種類:論理的。モポが何か理解していない
・非実在論者はこの場合の道徳的推論の失敗を、
道徳的モポが統語上事実的モポに類似していることを指摘してちゃんと説明できる。
(2)
事実的モポ●
道徳的モポ×
→誤りの種類:道徳的一貫性に欠ける
これで道徳的モポに失敗する人のケースは准実在論でも説明できることが分かる。
しかしあと二つケースがありうる。
状況3
事実的モポ×
道徳的モポ○
→なぜここで道徳的モポが成立しているのか。準実在論ならうまく説明できる。
つまり、彼はモポを理解していないのだが、道徳的一貫性によってこうしたパターンの推論を示す。
状況4
事実的モポ○
道徳的モポ○
→なぜここで道徳的モポが成功しているのか。ここでも反実仮想が必要である
(1)
事実的モポ×
道徳的モポX
→成功の要因:論理的な洞察によって
(2)
事実的モポ○
道徳的モポX
→成功の要因:道徳的一貫性によって
結論
以上より準実在論は、全ての事例を最もよく解釈できる。しかも、道徳的モポが論理的に誤っている場合は論理的に、道徳的に誤っている場合は道徳的に説明できる。
ライトの批判は上手くいっていない。